おとぼけ添乗記 やんばるの森 -No3-
4月8日(水)
早朝6時出発です。まだ暗い道を北を目指して山道を進みます。約30分ほど走ったでしょうか。先頭を行く先生の車がいきなり停車しました。よく見ると前の車のヘッドライトのずっと先、道路の端をなにやら小型の鶏くらいの黒っぽい鳥が歩いているのが見えます。すると先生が車の中から窓を開けて、私に向かって前に来いと手招きしています。前の車の右に車を出して道路を完全にふさぐ形で、先生の車と並べて停車しました。そのとき前方を歩いている鳥を同乗の何人かの方は見たようです。実は道の両サイドにヤンバルクイナが歩いていたのだそうです。先頭車のほうはもちろんほとんどの方が見られたようです。先生の配慮で今度は車を前後入れ替えて走らせることにしました。しかし今度はなかなかみつかりません。しばらくしてからまた先生が先頭を走ることにしました。
ヤンバルクイナは日本で唯一?飛べない鳥で、よく道路を歩いていて車に轢かれるそうです。年間で数十羽も命を落とすとのことで、あちこちにヤンバルクイナに注意の看板があり、それだけに道で出会うチャンスもあるようです。
それから約20分ほど走ったでしょうか。こんどは先生の車が急に右のわき道へ入って止まりました。「左手の草原にヤンバルクイナがいたのわかった?」といわれましたが、私は「えーっ!いたんですかぁ?」てなもんです。全く気がつきませんでした。
Uターンしてもう一度道路わきへ行き、そーっと静かに車を止めました。見ると道の左側は道路から低くなっていて、広い盆地のような草地になっています。よく見ると、というか良く見なくてもすぐそれと分かりました。皆さんもいっせいに「いたいた!」と身を乗り出します。
黒っぽい鶏のような鳥が2羽いて、そのうちの1羽は広い草原を左から右へ、警戒しながら歩いています。もう丸見えです。皆さん声を抑えながらも興奮状態。早朝でしかも曇りのため暗い中でしたが、さえぎるものが全くないところで長時間、これ以上は望めない状態での観察ができました。当初は9時頃までかかると思ってましたが、早々と目的を達成し、1時間で朝の探鳥は終わりました。いやぁーめでたし。
朝食後午前中はまたやんばるの森へ行き、ダム周辺を観察したりしましたが、今度はこれといった収穫はありませんでした。
ところで、今回のツアーでの昼食はどこかのレストランで食べるかお弁当を買うつもりでいましたが、なかなかそうもいかず、コンビニでお弁当やおにぎりを買って済ませていました。毎日同じコンビニで昼食を買っていました。ところが、この日、私は昼食を買った時、コンビニの店の中でうっかりポケットに入れていた望遠レンズを落としてしまったのです。それでも、しゃがんだ時に落としたので、私自身このときは、まさかレンズが壊れたなんて思ってもいませんでした。
その日、昼食を食べるのに駐車場に車を止めて、1つ目のおにぎりをパクついたときです。いきなり「ヒュイッ!ヒュイッ!」という聞き覚えのある声が聞こえたのです。声を聞いたとたん、先生は昼食なんぞそっちのけで飛び出していきました。最大のターゲットにして唯一の心残り、ノグチゲラの鳴き声です。山側には木々が繁っています。どうやらそこから聞こえてきました。じーっと目を凝らします。すると木から木へ飛ぶ鳥が見えました。皆さんも飛んでいる鳥は確認されたようでした。しかし、当然ながらなかなかじっとしていませんので、この時点ではじっくり見られたわけではありませんでした。
私はといえば、「やったー!」と思って早速望遠レンズをセットして撮ってやろうと、やる気満々でしたが、レンズを覗いてみてびっくり。まったくピントが合いません。私は添乗員の立場も忘れ、ガクゼンとしてしまいました。そして先ほどレンズを落っことしたことを思い出しました。よりによってこのチャンスに壊れるなんて!なんてドジ!
その後、しばらくノグチゲラは鳴かなくなりました。先生はこのチャンスを逃すまいという感じで、一人森へノグチゲラを探しに行きました。皆さんも急いで昼食を終わらせて、準備しています。私はというと未練がましく、カメラをいじってましたが、ついに諦め、広角レンズで勝負する覚悟を決めました。
しばらくして先生が戻ってきて、山側の登り道路で見られるかもしれないので、全員静かについてくるようにとの指示がありました。坂道の途中にたどり着き、全員で静かにノグチゲラの出現を待ちます。いつものおしゃべりはありません。昼下がりで、通る車もなく天気は良いのですが、しーんとした時間が過ぎます。するといきなり、それは現れました。我々より崖側の木々の間を鳴きながら飛んでは、木の幹に止まります。美しい赤茶っぽい色がはっきり分かりました。かなり近い!私は夢中でシャッターを切りましたが、当然ながら広角レンズのため小さくしか撮影できませんでした。しかし皆さんはついに期待のノグチゲラを間近でみられて大満足のようでした。
午後からは、もう皆さん目的達成の満足感で、虚脱状態。「もう死んでもいいわ」と言い出す方まででてくる始末。あのー、死しなれると困るんですけど・・・。
この日の夜は皆さんも本当に満足げに夕食を楽しんでおられました。また、この日めでたく88歳の誕生日を迎えられた方がいらっしゃって、用意したケーキやワインのサプライズ効果もあって、大いに喜んでいただきました。
さらに、夕食後皆さんそろってコテージへ引き上げる際、「このオクマリゾートの庭にリュウキュウオオコウモリを見た」との話になり、先生と庭を歩きながらオオコウモリを探したところ、大きなコウモリも観察するおまけまでつきました。
4月9日(木)
この日はチェックアウトの日です。帰りの飛行機までは時間的余裕がありましたので、喜如嘉(きじょか)へ再度行ってみました。午後からは那覇へ向かって車を走らせます。途中何箇所か探鳥地に立ち寄りましたが、すでにすっかり様変わりしてしまっているところもありました。午後、金武(きん)という探鳥地で鳥を探しました。車を降りてすぐマキバタヒバリという珍鳥を見つけて先生もびっくりしてましたが、その後は特に目新しい発見もなく(そんなにあるわけないか)空港へ向かいました。
天候にはそんなに恵まれたわけではありませんでしたが、終わってみればご希望の鳥はすべて見られたわけで、この点についてはバンバンザイのツアーではなかったでしょうか。
ヤンバルクイナ ヤンバルクイナ
ノグチゲラ オオコウモリ
イシガケチョウ




